ボランティアの榎本です。
お身体の状態によっては、あまり声が出せない方もいらっしゃいます。
その様な状況にあっても、元来お話し好きな方は話題に溢れ、
エネルギッシュに会話を楽しんでくださいます。
内容の全てをくみ取るのは難しい場面もありますが、心がけているのは、
しっかり目を見て頷くことと聞き取れたワードやセンテンスを復唱
することです。話が相手に伝わっているとわかると、ご本人も笑顔が
増え会話が弾みます。
やっと聞き取れた「キャベツ」「キュウリ」「ニンジン」「一晩つける」
というキーワードから、「キャベツとキュウリの一夜漬けはよく聞くけれど、
ニンジンも入ると彩りが良くなっていいですね、◯◯さんはお料理が
お好きなのですか?」等、こちらがワードを組み立てることによって
会話が盛り上がるケースも多々あります。ですので、私は全身全霊で
患者さんの言葉に耳を傾け、語る唇を見るようにしています。
私の姿を見るなり、酸素マスクになっても必死で話そうとされる方が
いらっしゃいました。「苦しいね、今日は無理に話さなくても大丈夫ですよ、
側にいます」と伝えると、頷き、「ありがとう」と2回、私の目を見て
はっきりと唇を動かしてくださいました。忘れられない大切な思い出です。
同時にボランティアといえど、役割の重みを感じる瞬間でもありました。
一回一回が真剣勝負。
今日も私は患者さんの言葉に、耳と目と心で寄り添います。